活動レポート
今と昔で激変! 老若楽しめる飲み屋街の今昔マップ (長野県佐久市中込地区)
2022年01月08日
長野県佐久市にある飲み屋街といえばここ、と誰もが答える街、中込。実はここ、
・50年くらい前に
・ほとんどつぶして作り直すレベルの区画整理
をしています。その変貌ぶりがあまりに衝撃的だったので、縮尺をできる限り揃えて「重ねてみるとどのくらい変わったかわかる地図」にしてみました。
現在、あまりに区画が変わり過ぎているため、この仕掛けに誰かが気づいた気配はありません……
まずは「今」
昔から住んでいる人、新しくきた人、思い入れがある人ない人、色々な人が混じり合う街。
古くから商店街に軒を連ねているお肉屋さんのご主人(ITに強い)と取材にまわりました。
地区の中でも象徴的な「ひまわり」。
お店のご主人に話を伺うと「昔、汽車で名古屋に行く途中で見かけたモザイクが素敵で、多治見高校の(当時の)陶芸部に卒業制作で作ってもらった」とのこと。
作ったのは全然佐久じゃなかった……!しかも高校生の卒業制作……!国道から見えるように巨大に設置したのに、間に銀行ができて見えなくなっちゃった、とのことでした。多分この話を知っている人、とても少ない。
「区画整理の時に建物をちょん切って曳家したの」とのことで、建物内に謎のスペースが。柱には何故か大正時代の商業図が貼られ、それについて誰も触れない。
なんで?そしていつ作ったの?
50年前の商店街
50年前、中込駅前には「中央名店」という大きなお店がありました。今朝何を食べたかは忘れたけれど、10年前を昨日のことのように覚えているみなさんは、今でも「あそこに中央名店があって」と話します。50年前なんて体感先週です。多分。「写真や地図を見ながら、話が止まらないんだよね」とのこと。
手書き地図は、地図を作ることがゴールではなく、見た人たちで思い出の共有をしたり時間軸を行ったり来たり、地図から旅ができることで、100次元くらい色々な方向に育っていく地図。手書き地図が皆さんの間で育てられていると思うと嬉しい!
飲み屋街の店は別の地区に移転したお店もあるそうで、この写真を見ながら配達業務に従事している人が「このお店は今どこそこにある!字体が変わっていない!」などと長時間盛り上がっていました。
燃えて一度は閉館した映画館。小田原取材の際も「映画館が燃えた」と聞き、なんで映画館の最後は燃えることが多いのか?と思っていました。
が!
この取材に来る数日前に「映画のフィルムは大変燃えやすく、聖火を太陽光で点火する際にも使用されている(諸説あり)」とテレビで見ていたことから「だから映画館は最後に燃えるのか!!!!」と気づけた、素晴らしい取材の時間でした。色々なところで地図を作っていると、点と点が一気に面になる時があって面白いですね。ちなみにこの映画館は、区画整理後「佐久グランドシネマ」として復活しましたが、今は閉館しています。31アイスが入っていたことでも思い出深い映画館です。
オート三輪に括り付けられた巨大な鯉。街中を歩くリアルな馬。「どういうこと?!」と思う部分満載の写真が出てくるのも、今昔マップを作る時の楽しみの一つです。
手書き地図は作ったら終わり…のわけがない
昔の写真たちを見ながら、ふと思ったことがあります。実際に取材に行った際、イラストを起こすために、建物や街並みの写真をたくさん撮影します。その写真はけして「映える写真」ではなく、建物が全部入っていること、お店の並びがわかること、正面からと斜めから、といった「記録写真」です。背景をぼかしたり加工をした素敵な写真が世の中に溢れる中、もしかしたら取材で撮影している大量の「映えない記録写真」が、50年後にめちゃくちゃ面白くなるかもしれない!
そう思って7年前の写真を見たらすでに面白かった……笑
手書き地図は作ったら終わり!!ではなく、歩いた思い出や取材で撮った写真も含めて何年もかけて、人々の中で育てられるコンテンツなんだなと改めて思いました。
▶︎中込商店会 http://nakagomi.jp