活動レポート
30年前の記憶を巡る!山形県遊佐町ワークショップ~歳の市篇~
2017年10月29日
(チーム歳の市の皆さんでハイチーズ!)
◎「遊ぶ」が地名に!なんともワクワクな町!遊佐町!
山形県遊佐町にて、10月13、14日に手書き地図ワークショップを実施しました!
あまり山形県になじみのない私ですが、「遊ぶ」という漢字が地名に着くなんてなんだか楽しそう!と単純な想いをはせながら、
東京から500km、約6時間のドライブで、山形名物の玉こんにゃくと芋煮を堪能し、
さらには紅葉が始まった鳥海山を眺めつつ、遊佐町にやってきました!
◎昔の記憶だけで作る地図!?
今回の手書き地図ワークショップテーマは「昭和30年代を再現しよう」です。
昭和30年代はたくさんの商店があり賑わいを見せていた「十日町」地区。現在営業しているのは8店舗程度で、昔この地域が商店街だったことすら知らない人達も増えて来ているそうです。
そこで、今回の地図作りでは、実際にそこに「あるもの」を描くのではなく、昭和30年代に「あったこと」を記憶を頼りに描くという、今までにない形でのワークショップとなりました。
◎「歳の市」ってどんな市??
今回私がご一緒させてもらったのは、昭和30年代の『歳の市』の様子を地図にするチームです。
歳の市とは毎年12月29日の1日だけ開催されていた新しい年を迎える為の市で、主には日用品を売っていたそうです。歳の市の日には、商店街の道が満員電車のようたくさんの人で溢れかえるほどの賑わいを見せていたそうです。
《1日目》
◎思い出ざくざく!座談会
年に1度だけの日の様子をはたして思い出せるのだろうか。。。といちまつの不安を抱えながらスタートした座談会。
そんな心配をよそに、出てくる出てくる思い出話!
年に1度の大イベントだったので、皆さんの記憶に鮮明に残っていたんでしょうね。
★こんな話がでましたよ★
・まんじゅう・だんご・そば屋などの食べ物のお店があって子供の頃は行くのが楽しみだった。
・「ぶりぶり」というはたはたの卵が売っているエリア周辺の道が、卵の殻で黄色くなっていた。
・お店は、歳の市の時にやってくる「出店」と、元々そこにある商店の人がお店を出す「店舗」に分かれていた。
・たるやはしごなどが売っている木工エリアがあった。 etc
◎明日の地図作りに向けて、懇親会!
夜は皆さんで懇親会!おいしい日本酒や芋煮を堪能!
山形のお酒「東北泉」は、くせがなくさらりと飲めて、途中から「これは水なのでは?」という錯覚に落ち入りそうになりました笑。
最後は山形的一本締めの花笠締め!「やっしょーまかしょ♪シャンシャンシャン!」で1日目を締めくくりました!
《2日目》
◎あの日の記憶を巡る町歩き!
実際に歳の市の会場だったエリアを歩きながら、あの日の記憶を呼び戻そう!ということでスタートしたフィールドワーク。
商店街を歩いてみて、ここにはこんな出店があった!こんなものを売っていた!などの細かい記憶を思い出し、その情報を取りこぼさないようにメモしていきます。
◎お金を拾えるラッキー水路があった!
商店街の道路脇には昔水路があり、水路に落ちてしまったお金を、歳の市のあと片付けの時に拾い集めていたそうです。
もし昭和30年代に戻れたら、私も率先して水路のあと片付けをしたいと思いました。
◎一番最後まで営業していた!「うまのくそまんじゅう」屋さん
歳の市がなくなるまで毎年訪れていたというメンバーの佐藤さん。最後まで出店していたお店は、
「うまのくそまんじゅう」というおまんじゅうを売っていたお店だそうです。
実際のうまのくそまんじゅうはがこちら!
なぜそんな名前になったかというと「うまのくそのようだから」というそのままの理由でした笑。
名前のインパクトはさておき、中のあんこがほんのり甘く、外はふかふかのおいしいおまんじゅうでした。
◎歳の市での1番人気店!万寿鍛冶!
現在も営業している衣料品店「万寿鍛冶」
歳の市の時には反物のセールをしていて大行列ができていたそうです。
◎わいわいしながらマップメイク!
たくさん収集した情報が入ったメモ入りの地図を見ながら、1つの大きな地図に落とし込む作業を進めます。
めっけ・もっこ・しょんびきなど、県外から来ている私には耳なじみのない言葉が飛び交いながら、
「え、それってどんなものなの?こんな感じのもの?」
「違う違う、もっとこうだべ」「あー!こんな感じかー!」
といった会話をしながら、皆さんの頭の中にあった記憶を模造紙に落とし込んで行きます。
ちなみに、「めっけ」はチリトリ。「もっこ」はかつげるカゴ。「しょんびき」は塩漬けのことだそうです。
イラストにするとこんな感じです ↑ ↑ ↑ ↑
今回地図を作ってみて、
・「ぶりぶり」というはたはたの卵が売っているエリア周辺の道が、卵の殻で黄色くなっていた。
・出店者が恥ずかしがらずにお客さんに声を掛けられるように、お酒を飲んで馬力づけをしていた酒屋があった。
など、ただ単にお店があったという事実だけはなく、そこにどんなストーリーがあったのかまで、しっかり地図に落とし込めたことが面白かったです。
その人だけのマニアックな情報を載せて、くすくすっと楽しめるのも手書き地図の醍醐味ですね。
◎完成!『十日町通り思い出マップ昭和30年代を再現~歳の市編~』
イラストたくさんの楽しい地図になりました!
◎発表会
歳の市の思い出話を交えながらの発表。
聞いていただいた町の皆さんも「あー。そんなことがあったね」と昔の記憶をひとつひとつ思い出している様子でした。
◎人の記憶の分だけ、地図ができるんだ!!
今回のワークショップを通して、町民の皆さんの数だけその地域での思い出があり、そこから十人十色の地図を作る事ができるんだなぁと思いました。
今年の遊佐町のお祭りで、今回作成した地図のお披露目をするそうなので、ぜひ町の人それぞれが持つ「歳の市の思い出」をこの地図に書き足してもらい、さらに情報満載の歳の市マップを作っていってほしいなと思います!
「もし、何十年後かに同じように地図作りをしようとしたら、歳の市の記憶がある人は、どれくらいいるんだろう。」と考えると、時代と共に少しずつ薄れて行く記憶の可視化と伝承がこれからは必要だ。と強く感じるワークショップでした!