活動レポート
30年前の記憶を巡る!山形県遊佐町ワークショップ~職業篇~
2017年10月26日
◎やってきたのは山形の“おでこ”
10月13日、14日と山形県遊佐町で行われた手書き地図ワークショップ。遊佐町は山形県と秋田県の県境で、山形県の形を人の横顔に見立てると、ちょうど“おでこ”の部分に当たることから「山形のおでこ」と呼ばれているとかいないとか。ちなみに僕の出身、千葉県では「市川市…って言っても伝わらないよね。チーバくんの舌の付け根あたりに住んでます!」というように県のマスコットキャラクター、チーバくんの体の部位を用いて市町村の何となくの位置を説明する文化があるので、この表現に何となくシンパシーを感じます。
今回は、会場となった貴福神社の公民館から遊佐駅の手前まで続く十日町通りを中心とする十日町地区が最もにぎわっていた『昭和30年代を再現しよう』ということで、僕たちのチームは昭和30年代の十日町の『職業』をテーマに、地図を製作していくことになりました。
《1日目》
◎こんなのあった!十日町思い出座談会
手書き地図推進委員会から、ほかの地域での例や手書き地図を作る上でのコツなどをレクチャーした後は、各チームに分かれて座談会です。職業チームは屋号の書かれた十日町通りの地図に、当時の職業や商売の内容を書き入れていきます。お米の収穫まで支払いを待ってくれた酒屋さんや農家さんたちの商売道具である農具を製造・修理する鍛冶屋さん、自動車がない時代に町の運送を担った馬車引きや、お医者さんに薬局、お菓子屋さんまで、生活に必要なものは何でも揃ったのであろうにぎやかな町の姿が浮かび上がってきます。中には、商売人が多く買い物に出かけられない人の代わりに隣町の酒田まで買い出しを代行してくれる、その名も便利屋さんという変わり種まで!(中にはお弁当を買ってきてもらって学校に直接届けてもらった人もいたそう!)
お茶菓子を片手に少年時代の遊佐町を思い出すと話は止まらず、終始ワイワイと盛り上がりました。座談会の最後は翌日のフィールドワークのルートを確認し、この日は終了。
その後の懇親会では山形名物の芋煮に舌鼓。味噌豚味の芋煮、美味しかったー!!!
《2日目》
◎何とか晴れた!フィールドワーク
2日目はさっそくフィールドワークからのスタート。途中お天気雨に降られたもののお天気にも何とか恵まれました。
十日町通りを歩き出してすぐ「そういえばこの横は小川(消火用水?)が流れていたなぁ」と貴重な情報が!今はコンクリートで舗装されている十日町通りですが、昭和30年代の初頭は灰色の砂利道で馬が歩いていたとか。座談会で参考にした地図にも載っていた昭和30年代当時から営業を続けているお店や、今はお店を畳まれてその面影を残すのみとなった建物、全く別の建物になっているところ…。60年という時を感じ、かつての賑わいに思いを馳せながらのフィールドワークは、実物を見る普段のフィールドワークとはまた違った楽しさがあります。
歩いてみて、話してみて思い出すことがたくさんありますよね。一人が思い出すと、また一人、また一人と連鎖して出てくるエピソードの数々…。色々なお話を伺えて僕も大変勉強になりました!
◎番外編 ~お昼ご飯~
この日のお昼ご飯はフィールドワークでもお邪魔した、十日町通りの鶴屋旅館さんのお弁当。
美味しすぎて2人前いただいてしまいました!笑
芋煮もお酒もお米もお弁当も美味しすぎる山形。ダイエットには厳しい土地ですね…笑
◎意外な才能も発掘!?マップメイク!
腹ごしらえが終わったらマップメイク開始です!
まずは座談会やフィールドワークで出てきたネタを付箋に書き出し、地図上に配置していきます。
その後、道を引いてイラストやテキストを描き込むと、模造紙は少しずつ手書き地図にその姿を変えていきます。
資料と記録を頼りにイラストを追加!
◎完成!『十日町通り思い出マップ~職業編~』
こうして完成した地図がこちら。
名付けて『十日町通り思い出マップ~職業編~』!
職業というテーマに沿って、昭和30年代に十日町通りに存在していた職業、お店の情報。そして皆さんのたくさんの思い出の詰まった素敵な地図が完成しました。地図の左上に資料と記憶を元に丁寧に描かれた役場。この役場で行われていた役場結婚では400組(諸説アリ!)を超えるカップルが成立したとか。参加者の皆さんの中にも役場結婚の方が多くいらっしゃり本当にびっくり!
そして作っただけで終わらないのが手書き地図ワークショップ。自分の気になったポイントや地図に載せていない(載せられない!?)思い出などを発表して共有します。
テーマが変われば同じ土地でも全然違う内容に。これが手書き地図の面白さなんです!
◎記録と記憶(と少しのフィールドワーク)でも手書き地図は作れる!!
今回は、今は存在していないものを地図に起こすという、従来のワークショップとは少し違った切り口でしたが、モノが残っていないからこそ記憶が蘇ったり、想像力が働いたり…。皆さんの記憶や少ない記録を頼りに地図を作り上げる作業にはいつもと違った楽しさがありました。時間の関係でイラストではなく文字にしてしまった部分などもあり、消化不良の部分もあるかと思いますので、ぜひまた皆さんで手書き地図に挑戦していただければと思います!
お忙しい中、ご参加いただきありがとうございました!